社会保険手続きの主な業務

中小企業で発生する社会保険手続きを、頻度別に整理しました。

業務 頻度 主な内容
入社手続き都度資格取得届、扶養届
退社手続き都度資格喪失届、離職票
算定基礎届年1回(7月)全従業員の月額改定
月額変更届都度給与大幅変動時
賞与支払届賞与都度賞与の社保料計算
労働保険年度更新年1回(6月)労災・雇用保険
育休・産休関連都度給付金申請
傷病手当金申請都度長期休業時
労災申請都度労災発生時

これらの手続きはいずれも提出期限が法令で決まっており、たとえば資格取得届は原則として入社から5日以内の提出が必要です。担当者が他業務と兼任している中小企業では、手続きの作業そのもの以上に期限管理が大きな負担になります。

社会保険手続き代行の費用相場

料金体系のパターン

料金体系 相場 備考
月額顧問契約月額1〜5万円従業員数に応じて変動
スポット依頼1件 5,000〜2万円都度払い
給与計算とセット月額3〜10万円給与計算込みパッケージ

規模別の月額顧問料相場

従業員数 月額顧問料
〜5名1〜2万円
6〜10名2〜3万円
11〜30名3〜5万円
31〜50名5〜8万円
51〜100名8〜15万円

注意したいのは、顧問料に含まれる範囲が事務所ごとに異なることです。入退社手続きと日常の相談対応までが基本で、算定基礎届・労働保険の年度更新・就業規則の改定などは別料金(年次スポット)とする事務所も少なくありません。見積もりを比較する際は、月額の安さだけでなく年間の合計額と対応範囲で比べましょう。入退社が年に数回程度の小規模企業なら、顧問契約を結ばずスポット依頼だけで済ませる選択肢もあります。

社労士に依頼すべき業務とは

社会保険手続きは、社労士の独占業務に該当するものと、一般従業員でも対応可能なものがあります。

社労士の独占業務(必ず社労士)

  • 労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成
  • 申請書等の行政機関への提出
  • 労務管理その他の労働に関する事項の相談

一般従業員でも対応可能な業務

  • 給与計算の事務処理
  • 従業員の入退社の社内事務
  • 就業規則の社内周知

なお、給与計算そのものは社労士の独占業務ではないため、給与計算代行会社やアウトソーシング会社にも依頼できます。ただし、計算結果をもとにした月額変更届などの行政手続きは社労士にしかできないため、給与計算だけを別会社に出すと、会社をまたいだデータ連携が発生する点に注意してください。

外部委託しても自社に残る業務

社会保険手続きを外部委託しても、すべての実務が自社からなくなるわけではありません。委託後の役割分担を誤解していると「思ったより楽にならない」と感じる原因になります。以下の業務は委託後も自社に残ります。

  • 従業員情報の収集と連携:入社者のマイナンバー、基礎年金番号、扶養家族の情報などは、自社で集めて社労士に渡す必要があります
  • 勤怠・給与データの締め:標準報酬や保険料計算の元になる勤怠データの確定は自社の仕事です
  • 従業員への一次アナウンス:健康保険証(資格確認書)の受け渡しや手続き完了の連絡など、社内への周知は自社が窓口になります
  • 経営判断を伴う決定:就業規則の最終決定や賞与支給の判断について、社労士ができるのは助言まで。決めるのは会社です

逆に言えば、こうした社内窓口の担当者すら確保が難しい規模の会社では、手続き単体の代行よりも、労務まわりの窓口業務ごと任せられるバックオフィス代行のほうが適しているケースもあります。

社会保険手続きを外部委託する5つのメリット

メリット1:法改正に自動対応

社会保険関連の法令は毎年のように改正されます。社労士は常に最新の法令に対応しているため、自社で勉強する必要がありません。

メリット2:労務トラブル相談ができる

顧問契約を結ぶと、労務トラブル時の相談窓口が確保できます。残業代問題、ハラスメント、解雇など、デリケートな相談に対応してもらえます。

メリット3:助成金活用のアドバイス

厚生労働省管轄の助成金は社労士が得意分野です。雇用関連助成金、キャリアアップ助成金など、知らずに損している助成金を活用できる可能性があります。

メリット4:労務リスクの予防

就業規則の整備、36協定の届出、各種規定の見直しなど、労務リスクの予防策を継続的に支援してもらえます。

メリット5:社員からの問い合わせ対応

「育休給付金はいくらもらえるか」「健康保険組合への加入条件」など、社員からの問い合わせを社労士に転送できます。

社労士の選び方:4つのポイント

ポイント1:得意分野・業種経験

社労士にも得意分野があります。IT、製造、医療、建設など、自社の業種経験がある社労士のほうが、業界特有の労務問題に対応しやすいです。

ポイント2:レスポンス速度

労務トラブルは緊急性が高いケースが多いです。「連絡から24時間以内に返信」などの対応スピードを確認しましょう。

ポイント3:給与計算との連携

社会保険手続きと給与計算は密接に連携します。標準報酬月額の改定も保険料の控除額も給与データが起点になるため、給与計算もセットで対応してもらえる社労士事務所が効率的です。給与計算の外部化の費用相場は「給与計算アウトソーシングの料金相場と選び方」で、年末調整まで含めた委託の進め方は「年末調整の外部委託」で詳しく解説しています。

ポイント4:電子申請対応

2020年から大企業は電子申請が義務化、中小企業も推奨されています。電子申請対応の社労士を選ぶことで、書類郵送の手間が省けます。

電子申請(e-Gov)の現状と実務

社会保険手続きの提出方法は、紙の郵送・窓口持参から電子申請への移行が進んでいます。2020年4月からは資本金1億円超などの特定の法人について主要な社会保険手続きの電子申請が義務化されており、中小企業も任意で利用できます。

自社で電子申請する場合は、政府の総合窓口であるe-Gov(イーガブ)を使う方法と、日本年金機構の電子申請(届書作成プログラム)を使う方法があります。いずれも利用料は無料で、GビズID(gBizIDプライム)を取得すれば、有料の電子証明書を購入しなくても申請できます。

自社申請と社労士委託の比較

項目 自社で電子申請 社労士に委託
初期準備GビズID取得・操作の習熟が必要不要(社労士の申請環境を利用)
費用無料(担当者の人件費のみ)顧問料またはスポット料金
差し戻し対応自社で修正・再申請社労士が対応
法改正対応自社で様式・制度変更を追う社労士側で自動対応

社労士に委託する場合、申請は社労士自身の電子証明書で代行されるため、自社でGビズIDや申請環境を整備する必要はありません。担当者の退職で申請ノウハウが失われるリスクもなくなるため、専任の労務担当を置けない中小企業ほど委託のメリットは大きくなります。

失敗パターン3つ

  • 料金だけで選ぶ:安い社労士は対応が遅く、トラブル時に頼れない
  • 口頭依頼が多い:書類記録がなく、後でトラブルになる
  • 顧問契約を活用しない:月額払っているのに相談しない=コスト垂れ流し

まとめ:従業員5名以上は顧問契約を検討すべき

社会保険手続きは、ミスが許されず法令改正も頻繁です。従業員5名以上の企業は、月額1〜3万円の顧問契約を結ぶことを強くおすすめします。

給与計算代行とセットで対応してもらえる社労士事務所を選べば、労務関連のオペレーションが一気通貫で整います。労務トラブルを予防する意味でも、顧問契約は安心への投資と言えます。

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よくある質問(FAQ)

社会保険手続きの代行費用はいくらですか?

月額顧問契約なら従業員数に応じて1〜15万円が相場です。従業員10名以下なら月額1〜3万円、30名前後なら月額3〜5万円が目安です。

社労士と税理士はどう違いますか?

社労士は社会保険・労務関連の手続きと相談が独占業務、税理士は税務申告と税務相談が独占業務です。多くの中小企業ではこの2つを併用して、労務は社労士、税務は税理士に依頼します。

社労士の顧問契約は必要ですか?

従業員5名以上の企業には顧問契約を強くおすすめします。法改正への対応、労務トラブル時の相談、助成金活用などのメリットを月額1〜3万円で得られるため、コストパフォーマンスは非常に高いです。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務・労務・法務等に関する専門的助言を行うものではありません。内容は執筆・更新時点の法令・制度に基づいており、その後の改正等により最新の情報と異なる場合があります。個別の事案については、税理士・社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。なお、株式会社ZEETAのバックオフィス代行サービスでは、法令上専門資格が必要な業務は行わず、お客様の顧問税理士等の専門家と連携する形でご支援します。