「会計ソフトを比較したいが、freee・マネーフォワード・弥生のどれが自社に合うのか分からない」。中小企業の経営者や経理担当者から、よく聞く悩みです。3社とも「中小企業向け」を謳っていますが、料金体系も設計思想も大きく異なり、単純な価格比較だけでは選べません。
本記事では、3大クラウド会計ソフトの最新の料金プランと機能を、中小企業の目線で比較します。会社の規模別におすすめのソフトと、選ぶときに見落としがちな注意点まで整理しました。
※本記事の料金は2026年7月時点の公式サイト情報にもとづく、年払い・月額換算・税抜のおおよその目安です。プラン改定や従量課金により実際の金額は変わるため、契約前に必ず各社公式サイトで最新の料金をご確認ください。
3大クラウド会計ソフトの料金比較(法人・中小企業向け)
まず、3社の中小企業向けプランの料金を一覧で比較します。いずれも近年プラン体系が刷新されており、以前の名称・料金とは変わっている点に注意してください。
| 項目 | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 | 弥生会計 Next |
|---|---|---|---|
| 提供会社 | フリー株式会社 | 株式会社マネーフォワード | 弥生株式会社 |
| 法人向けプラン | ひとり法人/スターター/スタンダード/アドバンス/エンタープライズ | ひとり法人/スモールビジネス/ビジネス | エントリー/ベーシック/ベーシックプラス 等 |
| 小規模向け料金の目安(月額換算・年払) | ひとり法人 約3,000円〜/スターター 約5,000円前後〜 | ひとり法人 2,480円/スモールビジネス 4,480円 | エントリー 約2,900円〜/ベーシック 約4,000円前後〜 |
| 中小企業向け標準プランの目安 | スタンダード(中小の主力) | ビジネス 6,480円 | ベーシック/ベーシックプラス |
| 設計思想 | 会計知識ゼロでも使える自動化重視 | 複式簿記ベースのバランス型・連携重視 | 老舗の安心感・税理士対応の広さ |
| 従量課金 | プラン・機能により発生 | 利用人数・仕訳数などで発生 | 4名以上は1名ごとに追加 |
3社とも「入口の料金」は月数千円で近い水準ですが、実際のコストは請求書の発行数、経費精算を使う人数、給与計算の有無、部門管理の要否などで変わります。基本料金だけでなく、自社が使う機能を含めた「実質コスト」で比べることが重要です。
各ソフトの特徴と向くユーザー
freee会計(フリー)
「会計知識ゼロでも使える」がコンセプト。家計簿のような感覚で日々の取引を入力でき、質問に答える形で自動的に仕訳が生成されます。2024年7月以降、法人プランは「ひとり法人・スターター・スタンダード・アドバンス・エンタープライズ」の5段階に刷新され、事業規模に応じて選べるようになりました。
向くユーザー:
- 会計初心者の創業者・ひとり社長
- 簿記の知識がなく、できるだけ自動化したい
- 請求・経費・人事労務までfreeeシリーズで一気通貫にしたい
注意点:自動化が前面に出ている分、複式簿記に慣れた経理担当者には「かえって遠回り」に感じられることがあります。また上位プランや従量課金で費用が膨らむケースがあるため、事業拡大時のコストを試算しておくとよいでしょう。
マネーフォワード クラウド会計
「会計知識のある人にも初心者にも」のバランス型。複式簿記ベースで正確性が高く、銀行・クレジットカードをはじめ2,000以上の外部サービスとの連携が強みです。法人向けは「ひとり法人・スモールビジネス・ビジネス」の3プランで、基本料金の中に会計だけでなく請求書・経費・給与など複数のバックオフィス機能が含まれます。
向くユーザー:
- 会計の基礎知識がある経営者・経理担当者
- 銀行・クレカ連携を最大限に活用したい
- 会計以外の労務・経費・請求も1つのシリーズでまとめたい
注意点:機能を「組み合わせる」設計のため、利用人数が増えると従量課金でフル機能時の総額は最も高くなりやすい傾向があります。仕訳数の上限がプランごとに設定されている点も、取引が多い企業は確認が必要です。
弥生会計 Next(やよい)
長年の会計ソフトの老舗。従来の「弥生会計 オンライン」は新規受付を終了し、現在は会計・請求・経費・証憑管理を1つに統合した「弥生会計 Next」が主力です。デスクトップ版の弥生会計を使ってきた経理担当者には操作感が馴染みやすく、対応する税理士事務所が多いのも安心材料です。
向くユーザー:
- 従来の弥生会計(デスクトップ版)を使ってきた
- 顧問税理士が弥生を推奨している
- シンプルな機能と手厚いサポートを重視する
注意点:料金プランが「弥生会計 Next」へ刷新され、旧セルフ/ベーシックプランとは体系が変わっています。4名以上の利用で1名ごとに追加料金が発生するため、利用人数を前提に見積もることが大切です。
会社の規模別・おすすめの選び方
「比較表を見てもどれか決めきれない」という場合、自社の規模と体制から逆算すると絞りやすくなります。
ひとり社長・創業期(従業員なし〜数名)
コストを抑えつつ、簿記に不慣れでも回せることが優先。会計初心者ならfreeeのひとり法人/スタータープラン、多少の会計知識があり将来の連携も見据えるならマネーフォワードのひとり法人プランが有力です。いずれも月2,000〜3,000円台から始められます。
従業員10名前後の中小企業
給与計算・経費精算・請求書発行など、会計以外の業務も増えてくる規模。バックオフィス全体をまとめたいならマネーフォワードのスモールビジネス〜ビジネス、自動化で経理工数を減らしたいならfreeeのスタンダードが候補です。顧問税理士が弥生対応なら弥生会計 Nextのベーシック系も選択肢になります。
従業員数十名規模・成長企業
部門管理、権限設定、内部統制の要件が出てくる規模。freeeのアドバンス以上、マネーフォワードのビジネス以上が対応範囲です。IPOを見据える場合は、上場準備に対応したプランや実績のあるソフトを、顧問税理士・監査法人と相談して選びます。
選び方の5つのポイント
ポイント1:会計知識レベル
会計初心者で「家計簿感覚で使いたい」ならfreee、複式簿記が理解できて「正確性重視」ならマネーフォワードまたは弥生が向きます。
ポイント2:他サービスとの連携
給与計算、請求書発行、勤怠管理、経費精算などを統合したい場合は、同じシリーズで揃えるとデータ連携がスムーズです。特にマネーフォワードとfreeeは、基本料金内で複数のバックオフィス機能を使える設計です。
ポイント3:顧問税理士の対応
税理士事務所には得意なソフトがあります。顧問税理士と相談し、対応しているソフトを選ぶと、決算・申告時の連携がスムーズです。弥生は対応事務所が多い傾向があります。
ポイント4:銀行・カード連携
自社で使っている銀行・カードに対応しているか確認しましょう。連携できないと手入力が発生し、自動化のメリットが大きく損なわれます。
ポイント5:インボイス・電子帳簿保存法への対応
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応は3社とも進んでいますが、対応の範囲や証憑管理機能はプランによって異なります。自社の運用(受領する請求書の量、証憑の保存方法)に合うかを確認してください。
比較でよくある失敗
- 基本料金だけで比較してしまう:給与・経費・請求の従量課金を含めると総額が逆転することがある。
- 旧プラン名の情報を鵜呑みにする:3社とも近年プランを刷新している。古い比較記事の料金は当てにならない。
- 顧問税理士に確認しない:税理士が非対応のソフトを選ぶと、決算・申告で二度手間になる。
- 無料期間だけで判断する:本格運用では仕訳数や連携数の上限に当たることがある。実際の取引量で試すことが大切。
使い分けのパターン
パターン1:freeeで一気通貫
会計・請求書・人事労務・勤怠などをfreeeで統一。データ連携がシームレスで、創業期スタートアップに人気です。
パターン2:マネーフォワードで全体管理
会計・給与・経費・勤怠・契約管理をマネーフォワードクラウドシリーズで揃える。中堅企業に多いパターンです。
パターン3:弥生+外部サービス
会計は弥生、給与計算や請求書発行は別サービスを併用。個別最適化を重視する場合の構成です。
導入の進め方
- 無料トライアルで使い心地を試す(各社1ヶ月程度)
- 顧問税理士に連携可否を相談する
- 銀行・カード等の連携をテストする
- 自社の実際の取引量・利用人数でコストを試算する
移行時の注意点
既存の会計ソフトから乗り換える場合は、次の点に注意してください。
- 移行は事業年度の切れ目がベスト
- 過去データの移行は顧問税理士と連携する
- 並行運用期間を1〜2ヶ月設ける
- 仕訳ルールを再設定する
会計ソフトを入れても経理が回らないときは
会計ソフトはあくまで「入力と集計を効率化する道具」です。ソフトを導入しても、日々の記帳・証憑整理・給与計算・税理士とのやりとりといった実務そのものは残ります。「ソフトは入れたが、結局その入力をする人手がいない」という声は少なくありません。
ZEETAのバックオフィス代行サービス「社長の盾」では、会計ソフトへの入力を含む経理・労務・法務の実務を月額10万円から代行します。ソフト選びとあわせて、実務を回す体制づくりも検討したい方はご相談ください。
まとめ:「自社に合う」が選定の基準
クラウド会計ソフトは、それぞれに強みと向き不向きがあります。「業界で人気」「価格が安い」だけで選ばず、自社の業務フロー、関連サービスとの連携、顧問税理士との相性、そして事業拡大時のコストまで含めて比較することが大切です。
3社とも無料トライアルがあります。実際に1ヶ月ほど使ってみてから決めるのが、最も確実な選び方です。一度導入すると変更コストが高いため、初期選定は慎重に進めることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
会計ソフトはfreee・マネーフォワード・弥生のどれが良いですか?
会計初心者ならfreee、会計知識がある経営者ならマネーフォワードか弥生がおすすめです。バックオフィス全体をまとめたいならマネーフォワード、老舗の安心感と税理士対応の広さなら弥生が向きます。最終的には自社の業務フロー、関連サービスとの連携、顧問税理士との相性で選ぶのが確実です。
中小企業向けの会計ソフトの料金相場はいくらですか?
ひとり社長・小規模なら月額2,000〜3,000円台から、従業員10名前後の中小企業向けの標準プランで月額4,000〜7,000円程度が目安です(2026年7月時点・年払い換算)。ただし給与計算・請求書発行・経費精算などを追加すると、従量課金で総額が上がります。基本料金だけでなく、自社が使う機能を含めた実質コストで比較してください。
会計ソフト選びで失敗しない方法は?
無料トライアル(各社1ヶ月程度)で実際の取引量を使って試し、顧問税理士に連携可否を相談してから決めることをおすすめします。基本料金だけで比較せず、給与・経費・請求などを含めた総額で見ること、古い比較記事の旧プラン料金を鵜呑みにしないことも重要です。
会計ソフトを導入すれば経理担当者は不要になりますか?
不要にはなりません。会計ソフトは入力と集計を効率化する道具であり、日々の記帳・証憑整理・給与計算・税理士対応といった実務は残ります。人手が足りない場合は、バックオフィス代行サービスにソフトへの入力を含む実務を委託する方法もあります。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務・労務・法務等に関する専門的助言を行うものではありません。内容は執筆・更新時点の法令・制度に基づいており、その後の改正等により最新の情報と異なる場合があります。個別の事案については、税理士・社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。なお、株式会社ZEETAのバックオフィス代行サービスでは、法令上専門資格が必要な業務は行わず、お客様の顧問税理士等の専門家と連携する形でご支援します。
