会社設立直後(1〜2週間以内)にやること

① 税務署への届出

設立日から1〜2ヶ月以内に税務署へ以下を提出します。

書類 提出期限 備考
法人設立届出書設立から2ヶ月以内必須
青色申告承認申請書設立から3ヶ月以内節税のため必須
給与支払事務所等の開設届出書開設から1ヶ月以内従業員雇用時
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書適用したい月の前月末納期半年→年2回
消費税課税事業者選択届出書適用したい年度の前日還付目的の場合のみ

法人設立届出書には定款の写しの添付が必要です。提出は税務署の窓口・郵送のほか、e-Taxでの電子申請にも対応しています。様式と記載要領は国税庁の「内国普通法人等の設立の届出」ページからダウンロードできます。

特に重要なのが青色申告承認申請書です。青色申告が承認されると、欠損金の10年間繰越控除(創業初年度の赤字を翌年度以降の黒字と相殺できる)、30万円未満の少額減価償却資産の即時償却など、創業期に効果の大きい税務メリットが使えます。提出期限は「設立から3ヶ月」と「最初の事業年度終了日」のいずれか早い日の前日までなので、設立届と同時に提出してしまうのが確実です。

② 都道府県・市町村への届出

地方税の関係で、都道府県税事務所と市町村役場にも法人設立届を提出します。様式は自治体によって異なります。

提出期限も自治体ごとに異なり、東京都は設立から15日以内、多くの道府県は1ヶ月以内です。なお東京23区内に本店を置く場合は都税事務所への届出のみで、市町村(区役所)への届出は不要です。

③ 法人口座の開設

創業期の法人口座開設は審査が厳しくなっています。複数の銀行に申請し、最低でも1〜2行は確保しましょう。

口座開設の準備物:

  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 定款のコピー
  • 代表者の本人確認書類
  • 事業計画書(ネット銀行除く)
  • 取引予定先のリスト

メガバンクは審査が厳しめですが、融資や海外送金など取引の幅が広いメリットがあります。ネット銀行(GMOあおぞら、住信SBI、楽天など)は審査が比較的早く振込手数料も安いため、創業期はネット銀行+地方銀行・信用金庫の組み合わせが現実的です。バーチャルオフィスのみで事業実態が確認しづらい場合や、事業内容がWebサイト等で確認できない場合は審査に通りにくいため、申請前に自社サイトを整備しておくことをおすすめします。

1ヶ月以内にやること

④ 社会保険の加入

法人は強制加入です。役員1名でも加入義務があります。

  • 健康保険・厚生年金:年金事務所に「新規適用届」を提出
  • 提出期限:設立から5日以内

手続きの詳細と様式は日本年金機構「新規適用の手続き」で確認できます。役員・従業員ごとの被保険者資格取得届、扶養家族がいる場合は被扶養者(異動)届も同時に提出します。社会保険料はおおむね給与の約30%を労使で折半(会社負担は約15%)するため、役員報酬や人件費を決める際は会社負担分も含めて資金計画を立てましょう。

⑤ 労働保険の加入(従業員雇用時)

従業員を1人でも雇用したら、労働保険(労災保険・雇用保険)に加入します。

  • 労災保険:労働基準監督署に「保険関係成立届」を提出
  • 雇用保険:ハローワークに「適用事業所設置届」を提出
  • 提出期限:雇用開始から10日以内

3ヶ月以内にやることリスト

この時期に忘れてはならないのが役員報酬の決定です。役員報酬を損金(経費)にするには、原則として毎月同額を支給する「定期同額給与」とする必要があり、設立から3ヶ月以内に金額を決定しなければなりません。期限を過ぎてからの増減額は損金算入が認められず、法人税の負担が増えます。社会保険料の会社負担分も考慮しつつ、税理士に相談のうえ早めに決めましょう。

⑥ 顧問税理士の選定

確定申告や月次決算のために顧問税理士を選定します。月額3〜5万円が相場です。

選定時のチェックポイント:

  • クラウド会計ソフトに対応しているか
  • 創業期の支援実績があるか
  • 融資・補助金のサポート可否

⑦ 会計ソフトの導入

クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)の導入を行います。月額数千円から利用可能で、税理士との連携もスムーズです。選定の基準は、顧問税理士が対応しているソフトに合わせること。導入時に法人口座・クレジットカードのAPI連携を設定しておくと明細が自動取得され、記帳の工数を大幅に削減できます。

⑧ 経理体制の構築

記帳・請求書発行・支払い管理などの経理オペレーションを整備します。1人社長や小規模な場合、経理代行(月額3〜10万円)の活用が現実的です。経理を外部化するタイミングの考え方は「スタートアップの経理アウトソーシング|いつから外部化すべき?」で詳しく解説しています。

6ヶ月以内にやること

⑨ 就業規則の作成(10名以上雇用予定の場合)

従業員10名以上を雇用する場合、就業規則の作成・届出が義務です。10名未満でも、トラブル予防のため作成を推奨します。就業規則は労働基準監督署への届出が必要で、作成は社会保険労務士に依頼するのが一般的です。

⑩ 各種規程の整備

  • 賃金規程
  • 退職金規程
  • 育児・介護休業規程
  • 慶弔見舞金規程
  • 個人情報保護規程
  • 電子帳簿保存規程

⑪ 資金繰り表の作成

創業期はキャッシュフローが最重要です。月次の資金繰り表を作成し、6ヶ月先まで予測しましょう。固定費(家賃・人件費・社会保険料)と売掛金の入金サイトのズレを可視化するだけでも、資金ショートの予兆を早期に掴めます。

⑫ 創業融資の申請

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、創業前または創業後おおむね7年以内が対象で、原則として無担保・無保証人で利用できる創業期の資金調達の第一候補です。実績のない創業期は、創業計画書の完成度と自己資金の準備状況で審査が決まるため、売上実績が出る前の早い段階で申請するのがセオリーです。申請の流れ・必要書類・審査のポイントは「創業融資の申請サポート|日本政策金融公庫の活用法」で詳しく解説しています。

1年以内にやること

⑬ 各種許認可の取得(業種による)

業種によっては許認可が必要です。代表的なもの:

  • 建設業:建設業許可
  • 飲食業:飲食店営業許可
  • 古物商:古物商許可
  • 派遣業:労働者派遣事業許可
  • 宅建業:宅地建物取引業免許

⑭ インボイス制度の登録

BtoB取引が中心の場合、適格請求書発行事業者の登録を検討します。インボイス制度に対応しないと、取引先から契約見直しを求められる可能性があります。免税事業者のまま取引を続けるか登録して課税事業者になるかは、主要取引先が課税事業者かどうかで判断します。登録する場合はe-Taxまたは郵送で「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出します。

⑮ 初年度決算と税務申告

事業年度終了から2ヶ月以内に、法人税・消費税の確定申告が必要です。期限を超過すると無申告加算税・延滞税の対象になります。1期目は設立日から決算日までが1年未満になるケースも多いため、決算スケジュールをあらかじめ顧問税理士と確認して進めましょう。

創業期によくある失敗パターン

  • 青色申告承認申請を忘れる:白色申告になり、節税メリットを失う
  • 社会保険加入を後回し:罰則と追徴金のリスク
  • 役員報酬の決定が遅れる:定期同額給与の要件を外れ、損金算入できなくなる
  • 事業用口座と私用口座の混同:経理処理が複雑になり、税務調査で問題化
  • 領収書の管理が雑:経費計上できる支出を見逃す
  • 就業規則を作らない:労務トラブル時に不利

バックオフィス整備の3つのパターン

パターン1:完全自社対応

創業者本人が全てを処理する形。コストはゼロですが、本業に時間を割けなくなるデメリット大。

パターン2:税理士+自社運用

税理士のみ顧問契約(月額3〜5万円)し、日常の経理は自社で処理。標準的なパターンです。

パターン3:バックオフィス代行で一括

バックオフィス代行(月額10万円〜)に経理〜労務までワンストップで委託。創業者が本業に集中できる現実的な選択肢です。1人社長がどの業務から手放すべきかは「1人社長が抱えるバックオフィス業務トップ10と対策」も参考にしてください。

まとめ:1年間の計画立てが重要

会社設立直後は、やるべきことが膨大で漏れが発生しがちです。1年間のスケジュール表を作成し、各時期にやるべきことを可視化しましょう。

1人社長や小規模スタートアップは、バックオフィス代行を活用して本業に集中する環境を整えることをおすすめします。創業期の経営者の時間は、最も貴重なリソースです。

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株式会社ZEETAは、バックオフィス代行サービス「社長の盾」を月額10万円で提供しています。経理・労務・法務・融資支援まで、士業との連携も含めてワンストップで対応します。

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よくある質問(FAQ)

会社設立後、最初にやるべき手続きは何ですか?

税務署への法人設立届出書(2ヶ月以内)と青色申告承認申請書(3ヶ月以内)が最優先です。続いて社会保険の新規適用届(5日以内)、法人口座開設、顧問税理士の選定を進めます。

会社設立後のバックオフィスはどこから整備すべきですか?

まず税理士の顧問契約(月3〜5万円)とクラウド会計ソフトの導入から始めましょう。続いて経理オペレーション(記帳・請求書発行)を整備します。1人社長ならバックオフィス代行(月10万円〜)で一括化が現実的です。

青色申告承認申請を忘れるとどうなりますか?

白色申告になり、欠損金の繰越控除(最大10年)や青色専従者給与の計上など、複数の節税メリットを失います。設立から3ヶ月以内の提出を絶対に忘れないでください。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務・労務・法務等に関する専門的助言を行うものではありません。内容は執筆・更新時点の法令・制度に基づいており、その後の改正等により最新の情報と異なる場合があります。個別の事案については、税理士・社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。なお、株式会社ZEETAのバックオフィス代行サービスでは、法令上専門資格が必要な業務は行わず、お客様の顧問税理士等の専門家と連携する形でご支援します。